ロジャーグラートは、スペイン・カタルーニャ州のアルト・ペネデス地方、サン・エステヴェ・セスロヴィレスに位置する名門カバ生産者です。創業以来、伝統を守りながらも革新を取り入れ、高品質なカバを造り続けています。その歴史は1800年代に遡り、創始者ジョセップ・カナルスがぶどう栽培を始めたことに端を発します。1860年には、自身の農家にあった作業所の一角に、深さ10メートルの広い地下空間「カバ・サン・ジョルディ」を建設しました。当初は家族のための食料保存庫として使用されていましたが、後に転機が訪れます。カナルスはフランスのシャンパーニュの魅力に感銘を受け、その味わいや泡の美しさに魅了され、1882年に個人用としてスパークリングワインの製造を開始。シャンパーニュと同様の伝統的な瓶内二次発酵による製法を採用し、その品質は瞬く間に評判となり、商品化へとつながりました。創業から140年以上が経つ今でも、ラベル貼りなど一部を除いて、瓶詰めや澱抜きといった多くの工程を昔ながらの手作業で行っています。

DO カバ、コンタッツ・デ・バルセロナの地理的領域に位置するさまざまなぶどう畑の最高級のぶどうから作られた最高のベースワインを選択し、特に伝統的なマカベオ、チャレロッロ、パレリャーダのぶどう品種にこだわっています。主な生産地域であるペネデス平野は典型的な地中海性気候に恵まれており、ぶどうの成熟に最適な条件が整っているため、異なる高度でさまざまなぶどう品種の栽培が可能です。

ロジャーグラートでは、創業以来、世界で最もエレガントなスパークリングワインを生み出す「トラディショナル製法」を守り続けています。毎年、厳選された最高品質のぶどうを使い、丁寧に醸造することで、香り豊かで味わい深いカバが誕生します。特に、ぶどうの一番搾り果汁（ファーストモスト）のみを使用する点が特徴です。一般的にシャンパーニュでは1Lのワインに1.7kgのぶどうが使われますが、ロジャーグラートでは2.5kg使用し、質の高さを追求しています。敷地内には地下30m、全長1kmに及ぶセラーがあり、空調設備なしでも14〜15℃、静寂と湿度が一定に保たれ、発酵・熟成に最適な環境です。この気温により、発酵は約3ヵ月かけてゆっくり進み、きめ細かく上質な泡が生まれます。このセラーは100年以上前に造られ、今では他に類を見ない貴重な存在です。